マタンゴ

マタンゴ

ボート遊びしていたら遭難した一同、漂着した島で難破船と怪しいキノコを発見。

マタンゴ

マタンゴ

TSUTAYAの日本名作劇場コーナーで発見。CGより手作り化け物にビビるという話をしたら母が引き合いに出したマタンゴ。その後も定期的に話題に出されるマタンゴ。マタンゴって何やねんと思っていたら名作コーナーにあった。5本で安くなるのでついでに借りる。

わ〜昭和の映画だ。海上の船がセット感ゴリゴリで背景の海がもろ合成だけど味があって良い。そして昭和の邦画、男は男臭くて女は女臭い。いいぞー。
男5女2のむさ苦しい一行がボートを走らせて遊んでいたら天候を見誤り遭難、霧に包まれた島に漂着する。そこには浜辺に打ち付けられた難破船が。カビだらけの船内はまだ食糧が余っているにも関わらず人っこ一人いない。かといって船員の死体も無く、何故か鏡も取り払われている。掃除してしばしの拠点としつつ、徐々に減りゆく食糧に一同のストレスは日に日に募り……ついに"元船員"の成れの果てと相対する。

雰囲気良いなあ。派手なホラーとかパニックじゃなく、未知の島で仲間が一人また一人減っていく。中盤超えたあたりでやっと半キノコ化した元船員と遭遇する。このビジュアルが怖い。ぎゃー! 島に群生するキノコ、マタンゴを食べてしまうと中毒になっていき、最終的には完全キノコ化のマタンゴ人間になってしまうのだ。この最終形態がまあ怖い。森のマタンゴゾーンでぬうっと現れる。う、うわーー!! 絶叫である。完全体だとアクティブさは無く、ゆらゆらと存在するだけ。逆に怖い。怖いと言えば作田のボートを再び見つけた時の演出も良かった。不気味で良い。
変態シーンが無いのも特徴的。リアルタイムの直接的マタンゴ化シーンは無く、ふらりと姿を消した仲間が次に会うときには変わり果てた姿に……的な。この時間差が絶妙に生々しくて怖い。なんだろう、ゲームのサイレ◯みたいな怖さ。やだなあ。

でもなかなか考えさせられる。主人公はどんなに飢えても絶対にキノコに手を出さず生きて帰ることを貫くが、こちらとしてはやられていった仲間達の言い分も分かる。島から出る方法も希望も無く、飢えて飢えて惨めに苦しんで死ぬくらいなら無数のキノコで気持ちよくなりながら(麻薬的効果もあるのだ)キノコになっちゃった方が楽なのは間違いない。楽には楽だけど、それが幸せかは分からない。丸め込まれなかった主人公の鋼のメンタル、凄まじい。

しかし結末もまた凄い。うおおそうなるか。でも後にWikiでスタッフ調べたらちょっと分かった。原案に星新一の名前があった。SF哲学ホラーだなあ。
2022-05-28