このあらすじ……間違いない、夢野久作の『卵』オマージュだーっ! フィンランド映画でそんなわけはないのだけど興味津々。
ガチ怖っぽくて普段なら配信まで待つ系のやつだったけど昨年マリグナ◯トで大当たりを引いたので期待の心を持っていざ。フィンランド映画は恐らく初めてで言語がマジで分からん。タイトルも読めない。
普通に怖かった。不気味……で不快……。卵から普通に怪鳥が生まれてモンスター系ね……と思いきやそのままパニックホラー展開になるわけではない。怪鳥が母である少女とシンクロして、少女が少しでも殺意を抱いた相手を惨殺していく。少女は怪鳥を庇ってひたすら存在を隠し続けるが、怪鳥は日に日に少女の姿へ変態していく……。
びっくりシーンは盛り沢山。構えられたから問題ないけど地味にテロおじさん登場が唯一ビビったかもしれない。油断してたもの。
でもやっぱり全体の印象は不快……動画配信をやめない母の幸せな家庭アピールが不気味、そのための少女への過剰な期待も不気味、不倫を悪びれず旦那の前でも自重しない姿が不気味。怪鳥より母が怖かった。娘が体操大会で失敗した上に不倫相手に振られた後の車内での発狂シーンは一番ゾッとした。しばらく頭から離れなさそうなインパクト。
インパクトといえば今まで観た中でトップクラスに不快なシーンがあったな。
↓↓↓ 閲覧注意である ↓↓↓
朝起きたら異臭放つ怪鳥が馬乗りになって顔にヨダレ垂らしてきた上に、真横には断首ワンコの死骸でベッドは真っ赤。たまらず嘔吐したら怪鳥が……おえー……。ただでさえ嘔吐恐怖症なので別の意味でも非常に危険だったけど限界薄目でポップコーン食べてどうにかした。思えば全然食べるタイミングじゃなかったと思いつつ。(盛り上がりシーンじゃないとポリポリ食べれなくて……)
↑↑↑ 閲覧注意終了である ↑↑↑
それはさておきあの気持ち悪さは凄かったな。感心してしまう一連のシーンであった。あの時点で少女は怪鳥を見放さなきゃいけなかったんだなあ。凶暴性に目を瞑ってしまったから取り返しのつかないことに……。
素人目でもカットの繋ぎが不自然なところがちょいちょいあったけども、映像は全然凄い。怪鳥の造形もハイクオリティ。だんだん少女に変異していく途中形態も見事。モンスターとして完全体に向かうのかと思ったら、そうきたかーという展開。少女の……一部を摂取し続けることでそうなってしまったらしい。まず卵時代に少女の涙が落ちちゃってたしね。ファースト餌を間違えたのが全ての始まりか? 普通の鳥餌を与えていればひょっとしたらただただデカい鳥に育ってたかもしれない。シンクロしてしまったが故に凶暴性は少女の敵に向けられてしまった。この殺害方法が本当に獣特有の容赦なさで恐ろしい。それがだんだん少女の姿になるんだから冤罪も積み重なって胸糞の悪い展開になっていく。
母親がどんなに毒でも少女は母が大好きなのが心苦しい。どの世界にも共通してこんなのがあるんだとひしひし痛感する。そういう意味でもメンタルにキリキリくる不快さがあった。ああ〜嫌な気持ち……。でも主演の少女は演技力も声もビジュアルも最高級であった……。
2022-05-21