自分と幼馴染と全国の病人のためコウモリとの融合実験をしたら化け物になった。
『ヴェノム』より全然良かった。これこれ、ヴィランムービーったらこういうテイストを期待している。ていうか途中からMARVELなの忘れるくらい普通にホラーでした。容赦無くガンガン死ぬし。血が出るし。アクションメインの割に血は少なめのMARVELにしては多め。そもそも主役が血を飲まないと生きられない体になるからむしろメイン。 てっきり他のバースから来ちゃったヴェノムのウネウネが寄生する流れと思ってたら何も関係無かった。でもスパイダーマンの敵キャラらしい。悪いだけど良い奴だ、モービウス。私は好きだ。 何というか全体的にかっこいいなあ。化け物のエフェクト? いちいちかっこいいし化け物同士の戦闘なんかスピードキレキレでIMAXで観ても良かったなあと思うくらい。主人公もマイロもヘアスタイル・衣装ともにちょっとクラシカルでオシャレ。全体的にビジュアルが良かった。 化け物化け物言ってるけど今回はこの化け物の呼称が特に無いのも地味に新鮮。ニュースで吸血殺人鬼とかとは呼んでたけど……流石にバットマンはまずいしね。自分で作っちゃったものだしモービウスと呼ぶしかないか。 ストーリーもキャラも良かった、主人公は自分も病気を持ってるけど何より同じ病院で同じ苦労を過ごした親友マイロのため「人を救うためなら何でもする」マインド。でも完全なるマッドサイエンティストというわけでなく人殺しや血を飲むことを強く拒絶する倫理観は持っている。マイロも主人公の研究に協力と投資を惜しまない良い奴だけど、小さい頃から激情的な一面を秘めていた。自分を化け物にした危険な薬を渡すことは出来ないと断る主人公に対しても「自分だけ生き延びて俺を見殺しにするのか!」と激昂する。化け物になるすなわち今よりはよっぽど自由で健康な体を手に入れられるとマイロは盲信してしまったのだ。結果、主人公が投獄されている隙にマイロも自らバットマンになってしまう――。 関係性が良い。主人公はマイロを治療するという目的をきっかけに医者になりこれまでの人生を研究に費やして来たのに、結局は二人とも化け物になって殺し合う運命になるというのが……ううん……やっぱりこういうの好きだよね……。何が泣けるって二人とも力を手に入れて健康になれた時の幸せそうな様子が。そりゃ、満足に動けなくて寝たきりで生涯を閉じるくらいなら目の前の自由に目が眩む気持ちも分かる。ウキウキで着替えて踊ってみたり、家の壁飛び回ってコウモリと戯れたり、それぞれ嬉しそうなのが泣けてしまうわ。 あとは医者主人公って良いなと。ドクター・ストレンジもこの枠だけども。この主人公は自分の様子がおかしくなってからもその生態をきちんと検証記録してるのが職人らしくて良い。そこで愉悦と勢いのまま人を殺しまくるマイロと使いこなしで差が表れてくるのが素敵。それに医者の殺意アクションってマジの殺意を感じられて良いじゃない。狙い所というか。いつもの軍人とかスパイとかでは味わえない良さがある。 ジャレッド・レトなのは気づいてなかったけど主人公マッチョになってからバリ男前。やっぱり健康が一番。助手のお医者さんもバリ美人。終始しっかりしたカッコいい助手だったけど主人公が自殺用抗体を用意したシーンで唯一見せた不安そうな表情があまりにも儚く可愛かったので同性ながらグッときた。最後の最後で吸血カップルになるのは良いなあ。マイロは言わずもがな、初見だけど超良かった。MVP。 だがしかしエンドクレジット後のあれはいらんなあ。あそこまで医者の矜持と倫理観を貫いた主人公があんな奴のあんな提案を二つ返事で「面白い」ってなるかね? マイケル・キートンが転送されちゃったとこまでで十分我々察するぜ。ちょーっと蛇足だったかなあ。