クラウン

CLOWN

廃墟でピエロの衣装を見つけ息子の誕生日に扮装した父。が、衣装もカツラも付け鼻も外せなくなる。

クラウン

CLOWN

お、監督がスパイダ◯マン(ホムカミ)の人だ。観てみよう。

想像以上に救いの無い理不尽ホラーの恐ろしい話だった。怖いピエロが暴れる話というより、普通のお父さんが段々怖いピエロに変身してしまう話。グロさもスリルもちょうど良い感じ。16禁はあまり聞かないけど内臓が映ったらそういう線引きなのかな。
小さい息子の誕生日に出張ピエロが来れなくなり、急遽代打を務めることとなった父。不動産屋でちょうど売り家を回っていたのでその場で前の持ち主の家財を漁る。するとそこには古いピエロの衣装があり、その場で着替えてパーティーを無事大成功させた。が、翌日になっても衣装は脱げず、カツラは外せず、付け鼻も取れない。懸命に外そうとするもピエロの扮装は解けないまま、父の体にも異変が起き始める……。

ピエロ怖いわあ。もはや、本来の道化として「ピエロを笑う」人々の感覚が微塵も理解できない域に至るくらい、ピエロ怖いわあ。どこに笑う要素あるのよ。ビジュアルもストーリーも不気味で怖い。何より主人公が救われない。ただただ息子を喜ばせたくて衣装を着ただけなのに、それだけで一発確定死はあまりにも不条理そして不憫。そんなドンピシャで祟られることある? 一応子供を五人捧げるって解法があったみたいだけど。それならさ、妻はもう放置しちゃうのがベストだったんじゃないか? と思わなくもない。だってあと一人だったでしょ。解法には辿り着きませんでしたor分かってはいましたけど止めることが出来ませんでした、で十分だと思う。で、父が勝手に五人食べて勝手に元に戻ったらハッピーエンドじゃない? 爺さんに証人になってもらって。そしたら「取り返す」という第一目的は果たせるぞお母さん。無理に立ち向かわなくて良かったんじゃないのお母さん。結局呪いの衣装は残っちゃったし。

それはさておき、演出は一通り素敵だった。付け鼻を無理やり外した拍子に鼻先がもげて終始血まみれなのを赤っ鼻に見立てるのもクール。特に、覚悟を決めた父が銃を咥えてから発砲までが良かった。テンポと壁に飛び散った血がカラフルだったのが見事で。残酷だけどアレには感服した。手製ギロチンで自殺するのには躊躇いまくる様子も生々しくて良かった。そりゃ無理よ。一人目の子供を食べてからは展開がひどい方にしか向かわなくて本当にしんどい。三人目からのゲーセンステージはリアルな怖さと言う点でかなり良かった。超イヤ。ピエロ遺体から泡が出るのすごいな。何使ってんだろ。

普通のお父さんが些細なきっかけでじわじわと"変身"して日常が崩壊していく様子は『第九◯区』を彷彿とさせる地獄っぷりで良い。あれで耐性がついてたからいいけど初見これなら非常に心を痛めて暗い気持ちになっていたと思う。とりあえずお母さんがよその子を犠牲にせずに済んだし息子も生き残ったから個人的にはハッピーエンド。
2022-03-13