テリファー

Terrifier

ハロウィンの夜に白黒のピエロが連続猟奇殺人。

テリファー

Terrifier

片手間に観られる何かをということで鑑賞。久々のゴア描写、普通に気合が入っていたんじゃないか。

殺人ピエロとはよくある設定だけど異質なのはピエロのルールガン無視のキャラデザインか。合っているのは白塗りくらいで、それもお肌直塗りでなく立体マスクだ。そんな馬鹿な! そして眉毛がある。メイクが真っ黒。でもお鼻は真っ白の鷲鼻、なんでやねん。しかしどうしてこの顔がクセになる。バーン! も多いけどドアの前に無音で突っ立ってるシーンが一番ゾッとしたかもしれない。

オープニングから目玉くり抜きの景気の良さ、異形の顔となった女性のテレビ取材という導入もワクワクする。
本編の舞台はハロウィンの夜に切り替わり、泥酔友達を連れた小ギャルの前に不気味なピエロが現れる。晩飯の店にまで執拗に付き纏い、振り切ったと思ったら車のタイヤが潰されている。姉の迎えを待つ間にトイレを借りるためボロアパート(?)に入る小ギャル、恐怖の夜の幕開けとなる――的な流れ。

ピエロの正体も動機もすっ飛ばしたシンプルなシチュエーション。主人公という主人公はなく、小ギャルも途中でやられてしまう。数人のグループが一人ずつ消されるというよりはそのボロアパートにやって来た人々が見つかり次第やられる感じ。結果的大量殺人。深夜に住人もいないほぼ廃墟になぜ次々やって来るのか、それなりの理由がいちいちある。害虫駆除業者、その安否確認をしに来た上司、地下に住み着く不審者、迎えに来た姉……若干無理やり感のある者もいるがそんな感じだ。

軸となる人物はある程度生きなければならないから仕方ないかもしれないけど、殺意の度合い、手際にバラつきがあるのがどうしても気になる。主人公補正とかそういうレベルでなく、露骨にモタモタし出すのが解せない。脳天一発の奴もいたのになぜその子には脅かすばかりで全然手を出さないのか。狙いは外すし取っ組み合いで負けるし反撃食らうし。一番納得いかなかったのは後半主人公へのやり方。後ろからビニールで顔を押さえて窒息させようとする。いやいやいやいや!! 地味だし弱いし。ビニール破って逃げられてるし。今までの刃物や鈍器の容赦ないぐちゃぐちゃ殺法からの後半でコレなのでずっこけた。そもそもホラー映画の殺人方法としての映えなさよ。随分驚いた。

グロ描写について、あり得ないラインにいってるものもあったので怖さが途切れる部分はあったけど、豪快さは良かったと思う。バリエーションも豊か。下の縦裂きシーンは流石に痛々しくて「い゛ぃぃ……」となったけどそのまま上まで全部裂けたからいきなりフィクションで怖くはなくなった。うーん。想像できる範囲までが良いけどそれだとエンタメ色が薄まる、難しいものだ。

オチは面白かったけど結局ピエロは超常的な怪物なのかと若干テンションは下がってしまった。人間の方が怖いと思うわぁ。こんな時期にこの手の映画は不謹慎だっかなあと鑑賞後しばらく落ち込んだ。
2022-02-26