マトリックス レザレクションズ

The Matrix Resurrections

大人気ゲーム『マトリックス』を作ったゲームメイカーの夢から醒めて、人類の救世主に復活する。

マトリックス レザレクションズ

The Matrix Resurrections

誕生日にマトリックスの四作目。観る観る。正直予習ゼロだったのでこれはまずいと前夜までに3作おさらい。結果、見とかないと完全に置いて行かれるやつだったので危なかった。

初見への優しさは皆無、世界観全開のまさしく四作目という展開。予習してても初っ端から出てきた「モーダル」の理解に苦しむ。ふわっと出てくるアレじゃないの? モーダルの仕組みに関しては最後まで分からなかった。でも観る。第一印象、映像綺麗〜!! 連続して過去作おさらいした後だからとにかく映像の綺麗さに感動する。IMAXというのもあり。オープニングの垂直コードのハイビジョンたるや。

作品としては、あった方が良い〜と思えた続編だった。三作目が何とも言えない締めだったんだもの。なんにせよ続きがある方が嬉しい、その展開としてスッキリな方に向かってくれたのが安心の内容だった。尖りが取れた感じというか……笑。エンタメとして楽しい回だった。二作目以降から薄くなっていったワクワクの市街地戦が復活して大喜び。むしろそういったマトリックス内の戦いが盛り沢山でだいぶ楽しい。明るい日中のシーンも多いしね。そう、全体的に明るかった。

序盤のメタ臭いB級コメディ感は「マトリックスにこんな愉快なテイスト……?」と複雑な気持ちで観てた(面白かった)が、赤いピルを飲んでからはマトリックス。イェーイ! やっぱりやっぱり、アクションシーンが全然違う!! スピード感に重量感、アングルにカット数、CGとワイヤーの完成度。超楽しい。これこれ。

アーキテクトに変わり今回のラスボスはアナリスト。職種(?)が変わるあたりリアルだ。またこのラスボスの演出が凄い、まだ映像演出の可能性ってあるんだなあとしみじみ。スミスはずっと好きなので今回の立ち位置は結構嬉しい。ポジションは弱いが存在としては最強のままなのか。ネオの魔貫光殺砲も拝めた。

しかしこういった完結したものの続編あるあるだけど、ハッピーエンドを迎えたキャラが悲惨な状態で再会するのはやっぱりキツい。ザイオンだめだったんかい。ナイオビの人はどう見ても偽年寄りだよね。トリニティの美貌にはビビった。ネオはただのジョン・ウィ○クだ。スミスのキャストも一緒だったら嬉しかったけど厳しいか〜。歳上だったもんなぁ。

流石にもうトンデモ新事実展開は無かったけど、「マトリックスの続き観てぇなあ……」と漠然と思っていた人々を癒す内容ではあったと思う。露骨に観客に寄せては無いけど、こんなん嬉しいやろ的な要素はきちんとある感じ。
パンフレット読んで一番納得した解釈は、一作目公開以降のパロディやら政治活動やらで監督の意志そっちのけで消費され続けるマトリックスという作品の奪還という考え。なるほどなあ。序盤で好き勝手マトリックスを解釈して語り合うスタッフのシーンからは皮肉を感じていた。日本でもマトリックスののけぞり銃弾よけは大ウケだったもの。むしろ限界にのけぞる体勢をマトリックスと呼んでたまである。しかしアメリカじゃ極右によって"赤いピル"や"白いうさぎ"といった用語が使われていたとは知らなかった。そんな背景があったらそりゃ新作で殴りたくなる気持ちも分かる。気の毒だ。

かつてのゴリゴリサイバーパンクってジャンルに含まれるのかは分からないけど、シリーズ通して微妙な気持ちになった観客には救いになる優し〜回だったと思う。
2021-12-18