シャマランなら観るさ。しかし油断していた、今までシャマランのスリラーで本ビビりしたことはなかったから(SF展開になっていくからね)今回もまあ大丈夫だろうとスリルを求めて行ったら大々的に精神的ダメージを食らった。これ超キツいわあ……。割と繊細なので一週間は憂鬱になりそう。そのくらいしんどかった。怖いっていうより、しんどい。
急速に年を取ってしまう謎のビーチ、迷い込む系かと思ったらリゾートの人に紹介されて行った先がそうだったらしい。メインの家族の他にもうひと家族とひとカップルとひと夫婦。全員キャラが濃いので覚えやすい。前振り長いなあという感じだけど全メンバー分の伏線的なものを敷いておかなきゃいけないなら仕方がないのか。
展開は非常に良い!! ホラーなのかスリラーなのか、とにかく鬱な展開が休む暇もなく襲いかかる。そっちで死体を見つけたらこっちで老人が息絶えて、あっちで腫瘍が急成長したらこっちで医者が発狂して、その間に新たな命が芽吹いて……おえぇ……。その上精神疾患の奴がいつ仲間を殺しにくるか分からない緊張も常に持ち続けなきゃいけないとか。挙げていったらキリがないけど自分だったらとっくに気がおかしくなってる。中盤から「早くこのお話終わって……」と異例の感情に襲われるほど。あまりに絶望的すぎて流石に老衰で死にたくなる。みんなよく耐えてるよ。しかしやっぱり「急速に年を取る」って演出がゾッとする。徐々に段階踏んで、明確にそれが表れた時の恐怖がえげつない。カーラの手を引いて現れるシーンはもはや怖いを超えてグロテスク。ドン引きだったけどそれでも最後まで家族を思い合う姿に泣ける。
ゾッとするのがほとんどだけど、しんどさで泣ける部分も多い。特に父さん母さんの老化……。父さんは目が見えなくなっていき、母さんは左耳が聞こえなくなっていく。しんどい。同じ時を歩んでこそゆっくり受け入れられるものであって、急にそんなのは耐えられないよ……と実感する。大きくなった娘が歌を歌って聞かせた時に、右耳を傾けて、嬉しそうに体を揺らす母さんがもう寂しくて寂しくてだめだった。無理無理……うちの母さんは長生きしてもらうぞ……。
大オチは斬新ってほどじゃないけどなるほどなー!! と納得できる。というかあの路線のラスト出してもらわなかったらいよいよ鬱から脱せない。一つ、途中の主人公交代的な流れで一瞬テンションが下がったけど、そこで主人公と「もう脱出諦めるか……」って考えに至るのがリンクして逆に良かったか。喪失感は同じだ。そういえば監督バリバリ出演してたな。カメオどころじゃないガッツリ出演でちょっと笑そうにはなってしまう。ちょうどいい緩和です。とにかく想像の数倍しんどかったので帰宅後明るい映画を観る。
2021-08-28