スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結

The Suicide Squad

刑務所のヴィランたちと司法取引して部隊を組ませ決死のミッションを託す。

スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結

The Suicide Squad

一作目スーサイド・スクワッドがキャラも設定も面白くならないわけがない布陣だったのに非常に微妙な出来だったので監督が違かったらもっと面白くなるに違いない……と思っていたところにまさかのジェームズ・ガンが参戦!! 信頼しかない激おもろ監督が来てしまった、これは観るしかない。にしても、MARVELとDCの掛け持ちなんてあるのか!? と思ったらその時MARVEL解雇されてたのね。そういえばあったなそんなこと。作品と作者は割と切り離して見るタイプなのでさほど影響は無く。

ただ全体観て思ったのはタイトルの”極悪”って程のメンバーはいなかったな。部隊のメンツはいうほど悪党ってキャラじゃない。悪党ってよりそれぞれの角度のちょい気狂いが集った感じ。どちらかといえばアンチ王道の最低でナンセンスなシーン展開、演出にこそ”悪い”が当てはまると思う。いいのよいいのよ、こういうスーサイド・スクワッドを観たかったのよ。お行儀よく協力してウォラーの言うこと聞くのは違うのよ。

R15ということもありゴア描写が気合入っていて前作スースクとテイストがガラッと変わっていた。当たり前だけど。序盤からメンバーをざっくざく殺しちゃうし、このオープニングはとにかく笑ってしまうほどテンポが良い。躊躇なくキャラがパーン! となっていくと一種の緊張感が生まれて、それこそがグロ映画の醍醐味だと思う。もちろん景気のいい死亡シーンでエンタメを楽しむ要素が大きいんだろうけど、キャラが次々悲惨な死に方をすることで「あれに襲われたら洒落にならない」「このキャラクターも次には死んでしまうかもしれない」という全年齢では味わえないドキドキが堪能できるんだと思う。ガーディアンズ(略)ではそんな心配全く無かったからね……ヨンドゥの時は号泣した。だがしかし! 公開前に愛するモータルコ○バットを引き合いに出して(ご丁寧にポスター画像並べて)「スースクの方がすごいぞ!」的な褒めツイートをした大手アカウントがいたためそういうシーンが映るたびにテンションが下がっていったのは失敗だった……いちツイートに影響を受けてる自分にも嫌になる……ああいうのは勘弁してほしい。

それはさておき面白いのは確か。ジェームズ・ガンのギャグセンも健在で数分おきにぶっ込まれる笑い要素に余念が無い。外国人のデカめの二度見って面白いよね。サメ男は映るたびにいちいち面白いからずるい。音楽も監督のこだわりとセンス全開で文句なし。

そしてハーレイ・クイン! ハーレイ・クインについて言わせて欲しい。「ちゃんと強い」って描写が嬉しかった! これまで映画の中でのハーレイは本当にただの”悪カワ”で、可愛さで乗り切ってるだけのちょいワル女子みたいな感じだったので、今回の単身ジェノサイドシーンが無性に嬉しくなった。バーズ・オブ・プレイの出来もハマらなかったのはハーレイのアクションが果てしなく微妙だったのもある。何やら見た目が華やかな飛び道具披露で強いかどうかはわからないし、プロの敵を倒す立ち回りも予定調和感が拭えない。何より美しさ重視で戦いのテンポが悪い。それも今作で上書きしてくれた。あとは(ほぼ)紅一点というポジション! バーズ・オブ・プレイでは女性監督の計らいなのか、終盤の主要メンバーがハーレイ+全員女性という布陣だったが、正直ハーレイのような女子は女友達できないタイプだ。女性メンバーにがっちり囲まれてしまうと、ただイタいだけのぶりっ子キャラが浮き彫りになってしまう。悪いおっさん達の中で紅一点になってこそ、ハーレイのキャラの面白さが引き立つんだと思うんだ。これを男尊女卑と言われたら引っ込むしかないけども。

聞いたところによるとジェームズ・ガンはDCからはもう全幅の信頼を得ていて、どのキャラ使ってもどのキャラ殺してもいいというクリエイターにとっては信じられないほど自由な条件で、スーパーマンでもバットマンでもないスーサイド・スクワッドに着手したらしい。合いそう合いそう。そんで期待した通りの完成度で作ってくるんだからすごい。やっぱり監督の存在って偉大だなあ。ただやっぱりアジア系キャストに物足りなさを感じるので次頼む。これはモーコン観てからずっと抱き続ける感情なんだろうな……。
2021-08-14