ワンダーウーマン 1984

Wonder Woman 1984

願いを叶えてくれるが代償もデカい邪悪な宝石、抹消しなきゃいけないが蘇った恋人で心がブレる。

ワンダーウーマン 1984

Wonder Woman 1984

DCなのに妙にタイミングを失って観に行ってなかったワンダーウーマン2作目、準新作で7泊いけたのでようやく観る。第一印象は、めっちゃカラフル!! 一作目が戦時下とか時代背景もあり全体的にモノトーンな暗い世界観だった分、今作の対照的なカラフルさに目を引かれた。戦争を終え華やかな時代の訪れを象徴している。

ストーリーもひたすらにシリアスな一作目と打って変わってトレンディドラマ的な要素が加わった明るめのトーンに。現代に上手く馴染んでいるワンダーウーマンの職場に冴えないドジ眼鏡女史がやってきてからどんどん展開していく。願いを一つだけ何でも叶えてくれる古代の宝石に、ダイアナは戦死した恋人との再会を、ドジ女史はダイアナのような女性に変身することを願った。で、見事に実現して二人はしばらく幸せな日々を過ごすが、ある日それを嗅ぎつけた倒産目前の社長が宝石そのものの能力を願って手に入れてしまう。願いを叶える代わりに大きな代償を伴う宝石システムを利用し、他人の願いを叶えまくって欲しいものを奪いまくる悪徳社長。その悪事はどんどんエスカレートし、とうとう第三次世界大戦を巻き起こしてしまう……。

要するに理想に浸かって大事なものを失うか、叶った願いを取り消して現実と向き合うかの二択を迫られるのだ。しかし、死んだら人は絶対に戻ってこないという信念のもと生きている自分にとって、死んだ恋人を蘇らせるとかは非常に苦痛な内容。嫌いなんじゃなくて、何で私は会えないんだ……という現実を突きつけられるつらさと、どれだけ再会して幸せでもいつか絶対に別れなければならないのが分かっている悲しさ。蘇ったままなんて上手い話はないでしょう。だから再会の時点でもう相当に苦しいのだ……。

にしても悲劇的な別れを告げた恋人、という一作目を受けて、その恋人が数十年越しに蘇って現代の文明に驚いてはしゃぐ展開、二次創作を公式でやってのけたようなストーリーである。楽しいから良し。魅力を手にしたドジ女史は眼鏡を外し、髪型を変え、服装を派手にして明るく振る舞い唐突にモテ始める。楽しいから良し。それでもパーティーで車から降りた瞬間のダイアナのドレス姿が段違いに美しすぎてヒェー!!と叫んだ。レベルが違う。もろに食らった。

このあたりのドラマ部分は楽しかったけどアクションは何ともテンポが悪くてスカッ! とするシーンはあまり無かった印象。オープニングのデパート戦は特に……カーチェイスもガンダッシュの合成が微妙で少し気になる。見どころは終盤の女史ファイトかもだが、あれは女史の造形が不気味で良かった! エンカウントで割と普通にゾッとした。敵のビジュアルでこういう感覚は久しぶりなので地味に新鮮。アマゾンだから女戦士vs猛獣って図が映えるわけね。

最後に自分の小さい息子が一人で核ミサイルが迫るさなか彷徨っている光景を見てラスボス社長は正気に戻ったけど、何だかえらい号泣してしまった。時期が時期だし、本当に核が落ちてしまった我が国ではあんな風に一人で歩いて助からなかった小さな命があるんだと思うとボロボロ泣いてしまった。繰り返してはいけないんだよ、自分の息子で目にするまでどうして気づかなかったんだい……しかし核100発とか、やっぱり一発のデカさを知らないというか……この世の終わりよ本当。どうにも核が出ると急激に鬱っぽくなってしまうが仕方ない。

恋人との別れを選んで世界を救いに向かったダイアナ、みんな会いたい人がいるのを乗り越えて生きているのよ、失ったしんどさを克服してどうにか生きているのよ……と思いながら観ていてまたしても泣いてしまう。もう一回観たいってほどではないけど妙に突き刺さる要素があってしんどかった。頑張って生きていこう。
2021-08-11