ヒッチコックといえば『サイコ』とこれかなと思っていたので。題名バードだと思ってたら邦題が直訳すぎて驚いた。
ヒッチコックは美女に車飛ばさせるのが好きなのか? というのはさておき、こちらも途中まではチャーミングな恋愛映画として続きが気になる流れだったけど事態は急速に悪化して恐ろしいパニック映画に変貌する。いや、不気味な前振りはあったからこれは怖い映画や……と観れたけど主人公の社長令嬢と弁護士の可愛らしい駆け引きにすっかり引き込まれ「なんて可愛いんだこの二人は!」とニッコニコで展開を楽しみにしていたらいや突然の不穏展開。いや〜いいなあ、これよこれ
そしてやっぱり恐怖演出がテクい。サメ、虫、ビーバー、あらゆる生物でパニック映画は作られたがごく普通の鳥(凶暴ではあるが)一本でどこまで怖く見せられるかにテクニカルな演出がだいぶ効いている。特に学校のシーンは痺れた。襲われる前の、じわじわ増えていくやつ。目で追った一羽の止まった先は既に……うおー、あの演出はゾッとした。第一被害者の死に様も両目を抉られて……というのが一気に鳥の恐ろしさを感じられて凄い。一人目でそうやって見せることで洒落にならない恐怖に突き落としてくる。夜、家を囲まれて襲われた時も、どこを塞いだら良いか……とどまっているのと避難するのどちらが良いか……みたいな災害に見舞われた時のようなパニック感もいい。
襲われるシーンはもうどうやって撮ってるのか分からない。本当に襲いかかってる映像とただ飛んでるのを組み合わせてる? 無論この時代だから特撮のリアリティにも限界があるが、それでもどこまでが特撮だ? と目を見張る完成度。本当にどうやって撮ってるの? 大量の本物を放ってるのかな……? この時代にってのが凄い、ここまで欺ける(?)のが。『サイコ』観たせいで割と終盤までお母さんの動向を警戒してしまった。並行してドラマの方も進められるのも凄い。
キャラクターとしては大人っぽい雰囲気の令嬢が意外と大胆で可愛らしい言動をするのが素敵だった。ボートに隠れるシーン、最高。しかしそれ以上にアニーがすごく良かった、初登場シーンで既になんか好きになった、まず演者に魅力があるのでしょうな。はあ……。妹も演技力が凄まじくて良かった、さすがヒッチコック映画。二つしか観てないけど。最後まで鳥について何も分からないのは若干気になるけど、エンディングで「終わるの!?」とは思ったけど、人間生きてればええねん。
2021-06-24