るろうに剣心 最終章 The Beginning

るろうに剣心 最終章 The Beginning

幕末の動乱期、人斬り抜刀斎と恐れられた最強の志士がいた。戦いが終わり新時代が訪れると共に、抜刀斎は刀を捨て姿を消した。

るろうに剣心 最終章 The Beginning

るろうに剣心 最終章 The Beginning

The Finalを観たので続けてGO。徒歩で映画館に行ける所に引っ越したので交通費無しでウキウキ。それはさておき、今回は人斬り抜刀斎時代のいわゆる過去編にあたる作品であるというのは予習済み。そのため前作のエンタメアクションお祭り騒ぎテイストと一変、シリアスなドラマ要素強め時代劇だった。黒船来航以降の幕末の動乱期・主要人物とその関係性についてはざっくり知っていたのですんなり観られたけど、もっと歴史に詳しければ更に楽しめたのだろう。禁門の変に関しては史実を何も覚えてなかったのでそこだけ曖昧。桂側が負けたんだね。

オープニングいきなりの抜刀斎ジェノサイドシーンには興奮、初っ端からかましてくれる。それに今までの剣心のアクションとはまるで違う! 逆刃刀でボカボカ殴ってた今までと打って変わり、”殺す”ための殺陣に痺れる。ザクザクと切り引くような、本気で斬り殺す立ち回りたるや。加えてこれまでの本編であまり観れなかった、グッシャグシャに血を浴びる剣心っ。こんなのにエキサイティングしてちゃいけないんだろうけど。現役時代のキレキレなバイオレンスは堪らない。しかもオープニングは両手拘束というハンデスタート、いやあ好きだ。

そしてついに登場、新撰組! でた、沖田総司! すごく知ってる顔だと思ったら最近気になっていた村上虹郎氏でした、最高。沖田総司出てきたらもう沖田戦を期待せずにはいられないが非常にロマンチックに実現してくれた。そうよね、強いよねー。病弱設定も生きて楽しい。

アクションといえば最終決戦もだい〜ぶ好きでした。やっぱりボロボロの主人公とか最強が致命的なハンデ背負ってファイトとかが大好きな自分にとってはかな〜り好きでした。五感を奪われてフラッフラな剣心、気配だけでどうにか刀をぶん回す様が……いいぞ。いやエキサイティングしたらいけないんだろうけど。そして北村一輝様、前作に名前があったけどマジでどこにいたの!? と思ったら今回のラスボスだったのね。最終決戦に文句はないけど、いくら勝ちたいとはいえそんなヨロヨロの剣心を殺して嬉しいか? と侍魂を疑う……侍って枠じゃないのかも知れないけど。剣心は病気した沖田を前に刀を仕舞ったど。そして、あんなに余裕綽々だったのに、い、一撃で負けるの〜!? シーン的には仕方ないか。思ったより縁の出番がちょびっとで地味に驚いた。あと高杉。高杉晋作のアクション観たかったなあ。そういうキャラでない?

アクションが好きなのでアクション長めになったけども。メインはドラマの方ですから。やっぱり読めないキャラクターとして有村架純ってキャストは本当にマッチすると思う。ぼーっと遠くを見る顔がまあ〜切なくて寂しくて。前作の時点でもう、剣心にあんな存在がいたら薫殿は一生一番になれないじゃない……と割と絶望的だったけど、今作を観てより一層「いや、こんなん死ぬまで忘れられないでしょう……」と思い知らされる。まず頬に傷が残る限り消えない記憶でしょ。壮大な愛を見た。

剣心はきっと裏切りを知らされたとき、日記を最後まできちんと読んだんじゃないかしら。早とちりするような子じゃないでしょ。そうでなくても、決戦に赴く間、別に恨みや悔しさなんて無かったに違いない。思うに、巴さんの死んだ許嫁が過去に自分が殺した相手だったってことにとてつもない苦痛を受けたんじゃないか。巴さんがどんな心情で自分のそばにいられたのかをはちゃめちゃに考えて罪悪感と喪失感で弱りきっていたのだと……思うんだ、自分は……! ラスト、巴さんを二人の家へ連れ帰って、ごく普通の生活を一人ぼっちで過ごしてから思い出ごと焼き払って立ち去るのが、もう、寂しくて寂しくて……。巴さんといられる最後の時間を、ゆっくり一人で暮らしたあの一日が寂しくて寂しくて……あそこが一番泣いたかも知れない。巴さんの最期に姉が壮大な解釈違いをしていたのが一番の衝撃ではあった。

(追記)パンフレット読んだ、原作では十字傷は偶然ついちゃったらしいが実写はそうはいかないので意味を持たせたらしい。巴さんが十字に刻むことで、剣心に十字架を背負わせたって……いよいよえげつない繋がりだよ……。
2021-06-06