観てないスピルバーグを観てみるバーグ。突如現れた侵略者により世界に破滅の危機! これこれー! 内容は王道SFパニックものだけど、いや〜面白い。とんでもない規模の戦争に一家族の視点でずっと逃げ惑う。本当に災害として描かれる侵略者の急襲に「何が起こってるのか?」「誰を信じれば良いのか?」「どこへ逃げれば良いのか?」正解の分からない感じ、周囲の様子で伺う感じが生々しい。
そして本当に戦時下を思わせる演出も、何でそんな怖いことするんや……と引くレベルで恐ろしい。そう、エンタメ寄りかと思ったら結構残酷な描写が多くてしんどかった。小さな娘を抱えて「父さんだけ見ていろ」とか、目隠しをして「子守唄を歌ってくれ」とか……父親が懸命に娘の世界を守ろうとする姿が泣ける。その努力も虚しく醜い大人たちの殺し合い、戦争による大量の死体や血まみれの景色を目の当たりにしてしまう娘の様子、精神的にキツい。大きい息子は理不尽な虐殺に激昂し戦争に参加しようと父の制止を振り切って戦火に飛び込む。やるせない。車を奪うために人間同士の殺し合いが起きたり、フェリーの人数制限を無視して他人を蹴落として乗り込もうとしたり。極限に際して生存者同士で無意味に争う虚しい現実が、もうSF関係なくグサグサくる。だけどもその中で、一人でいる小さな娘を心配して一緒に連れて行こうとする老夫婦、トム・クルーズが女の子の父親であると察して(多分)必死に侵略者から取り戻そうとする人々、フェリーから落ちそうな人々に手を貸しに行く息子……といった人の善意が泣ける、泣ける。やっぱり中心は幼い娘で、彼女本位で全てを犠牲に奔走する父親にこちらも熱くなってしまう。かくありたい。
結末というか最後の締めくくりに関して、ほおぉ……と小っさく唸りが出た。人類の権利か。水滴から宇宙が広がる演出、深い。ほんでこれ原題では「宇宙戦争」じゃなくて「世界戦争(大戦)」なのよね……。
2021-03-20