気合の入ったゴア描写とそれ以外は低予算で抑えたであろうホラー。究極の快楽を得られる小箱ヘル・レイザーを開けた男フランクは消滅してしまうが、弟の血を浴びることで復活してしまった。完全体ではないためかつての愛人ジュリア(弟の妻)を唆し、更なる人間の血を要求する。はじめは躊躇っていたジュリアも徐々に抵抗を無くし、何人もの男を連れ込んではフランクに捧げていた。ある日、そんな場面を弟の娘に目撃されてしまい……。
なかなか話を一言でまとめられないのはヘル・レイザー小箱のルールが最後までよく分からんことから。それを開けると恐ろしい魔導師たちがやって来て連れ去られるらしいが、それが「天国に向かう奴もいれば地獄の奴もいる」とのこと。ではフランクは地獄行きだったから消えてしまったのか? 消えるとは? 復活したことも魔導師たちは把握していなかったし、復活方法も知らなかった様子。同じ小箱を開けたのに魔導師じゃなくて化け物が襲いかかってきたり、何より娘が時々観る幻覚や夢の説明が無くて混乱する。なぜジュリアは最後あんなことになってるのか、フランクは完全復活したのに何のため殺人するのか、娘が魔導師を倒せる理屈は何なのか、意味深な浮浪者は結局何者なのか。ハテナが多い。察するにこの作品、原作・脚本・監督が全て同じ人なので盛り込みたい設定や伝えたいことが多すぎたんじゃないだろうか。風呂敷広げまくった感はあるが結構深い話なんだと思う。2作目、3作目もあるようだし。
話は謎だらけだったけど展開は普通に楽しかった。序盤からグッチャグチャへの気合いが感じられて良い。フランク復活シーンは「うお〜」と言うほど。吸血される死体や魔導師の拷問も派手で良い。ジュリアの葛藤や変貌が興味深かったけど途中で主人公が娘にシフトしてからジャンルがサイコスリラーからオカルトホラーに変わった感じ。フランク完全体の顔が観れなかったのは地味に残念。というかパッケージの針まみれの怖い人がフランクだと思ってたらそっちは魔導師だった。そしてヘル・レイザーが魔導師のことかと思ったら小箱の名前だった。ちなみにヘル・レイザーは日本語で訳すと「地獄の番人」とのこと。地獄なんかーい。儀式って難しい。
2021-02-28