ファイトクラブ

Fight Club

不眠症で生きる気力を失っていた会社員、ある男と出会い殴り合いで癒しを得る。不毛な戯れは危険な方向へ。

ファイトクラブ

Fight Club

やたらと評判なのでいつか観ようと思っていたら20年前の映画だった。観終わってから知って驚き、ブラピが変わらなすぎるんじゃ。主人公はブラピでなく冴えない会社員だが。この映画はその主人公のモノローグたっぷりで進んでいく。ひとり語り映画、好き好き。雰囲気が好み。不眠症で歩く死体となりかける主人公がある男と出会い人生が良くも悪くも急変していく。掴みが良い、体は至って健康な主人公があらゆる患者の会に参加しまくって安らぎを求める、序盤からなかなか狂気の沙汰。
 個人的にはいち社会に溶け込むごくごく社会的な主人公の日常がちょっとずれてボロボロに破滅していくのが趣味なのでとても好きな部類。ぶっ壊れた価値観が人気の理由らしいが、この作品をどれより先に観てたなら確かにとんでもない衝撃だと思う。暴力、暴力。死ぬだけの自分と他人を救うための痛みの共有。真っ当であることの意義、生活に依存することへの疑問……”物質主義”を真っ向から否定する凶悪犯のようで救世主のような男。もう中盤から無理な人にはとても耐えきれない倫理観ではある。
 しかし人を殴ったことがある人とそうでない人の見える世界は全く異なるんだろうなあ。非暴力の小娘には想像もつかない。最終的に誰が殺されて誰が殺したのか、考察班が楽しそうな話。基本死にかけで病んでいて狂い始めている人しか出てこないけど独特な雰囲気と急ピッチな展開は楽しいぞ。馬鹿馬鹿しさと狂気の狭間、よく見たら監督えぐい人や。
2020-12-21