スカーフェイス

Scarface

命知らずの”スカーフェイス”がアメリカで成り上がり、破滅するまで。

スカーフェイス

Scarface

サイコ映画かと思って観たらマフィア映画だった。がしかし、マフィア映画に期待してるもの全部入ってた。すなわち暴力・駆け引き・裏切り・仁義その他諸々。顔に大きな傷のついた”スカーフェイス”(そのままだ)、トニー・モンタナが行き着いたアメリカで前科持ちからマフィアへ成り上がって栄光を手にし、破滅するまでを描いたギャングもの。人を殺して金と地位を手にし、裏切り裏切られ、のし上がって仲間を失い、大事な物を自分で壊して、矜恃だけを残して殺される。
 このスカーフェイスという男、魅力があるのか無いのか、とにかく目が離せないのは事実だ。ひたすら短気で気性が荒くて自己中心的なクズだが常に覚悟を持っており、いかなる窮地・修羅場でも己に後悔を残さない気高さと堂々たる生き様。まさしく天性のマフィア。無鉄砲で命知らずな言動がいっそ清々しいような哀れなような……。それが寿命を縮めるのはごく当然なことである。キレたら身内だろうがボスだろうがバンバン撃ちまくるけど女子供は殺さないし、恩のある相手には義理を通す立派な仁義の持ち主。しかし全方向のこだわりが極端すぎるのだ。度胸には痺れるが転落はただただ自業自得ではある、しかしその頃には複雑な感情に浸ってしまう。いかにも自分自身で運命を切り開き、悲惨な最期を迎えたようだが、結局は運命に振り回された可哀想な男なのかもしれない……。最後に相棒のマニーを殺したことを初めて後悔したところはなんかぐしゃぐしゃな心持ちになった。同情は出来ないが一人分の人生を濃厚に見せられた。強く生きよう。
2020-12-14